VIRUP -
VR宇宙プロジェクト


スイス連邦工科大学ローザンヌ(EPFL)は、チューリッヒ大学(UZH)、ジュネーブ大学(UniGE)などと共に、バーチャルリアリティ(VR)宇宙プロジェクト(VIRUP)を開発しています。VIRUPは、皆さんに時空を超えた宇宙の旅を体験していただけるスイスのサイエンスコミュニケーション・プロジェクトです。私たちの太陽系から出発して、星をめぐり、天の川を越えて、宇宙の大規模構造を体感してください。

VIRUPは最先端のコミュニケーション手法のひとつであるバーチャルリアリティ(VR)を用いて宇宙を極めてダイナミックに表現し、皆さんに、宇宙の階層構造を理解していただくことを目指します。宇宙の大規模構造、銀河の形成過程やその渦巻き構造、星や惑星、系外惑星、人工衛星、宇宙デブリなど、スイスの天体物理学コミュニティが研究している様々なテーマをめぐる旅をお楽しみください。

 

体験


VRヘッドセットを装着して、時空を越えた宇宙の旅に出発しましょう。体験時間は5分間。太陽系から太陽系外の領域へ、星を越えて天の川の渦巻き銀河を飛び出し、局所銀河群へ、360度見渡せるコースをたどって、宇宙の迫力と進化を堪能してください。

テクノロジー


VIRUPは、非常に大規模な宇宙の模型を表現できるよう、特別に設計されています。数テラバイトのデータが、数十億個の粒子を再現しています。再帰的データ構造(k-d木空間分割)と、PID(比例​係数、​積分​係数、​微分​係数)制御アルゴリズムを組み合わせたことで、標準的なヘッドセットでも、快適にVRの世界を体験していただくのに必要な、1秒あたり90フレームの表現を確保できます。

またVIRUPは標準的なVRシステムにのみならず、EPFLの実験的博物館学研究室(Experimental Museology Laboratory EM+)が開発しているような、より没入感をもたらす上映システム—例えば体験者を360度囲うPanorama、床や壁面に投影するCave、高精細のDomeなどにも対応しています。

VIRUPは、特別に設計されたグラフィックスエンジンをベースにした柔軟な C++/OpenGL/Qt フリーソフトです。コードは gitlab よりダウンロードしていただけます。

Image Gallery


EPFL Laboratory of Astrophysics (LASTRO)


EPFLの天体物理学研究所(LASTRO: Laboratory of Astrophysics)は、幅広い、相互補完的な専門分野を研究対象として、特に先端研究と、次世代の天文学者の育成を目的とした質の高い教育を行っています。LASTROの研究チームは、ローザンヌにあるEPFLのキャンパスと、ジュネーブの中心部に近いソーヴェルニーにある天文台の2つの拠点から、多様な国際共同事業やプロジェクトに参加し、主導的な役割を担っています。特に銀河系外の天文物理学や観測に基づいて宇宙の起源・進化・構造を研究する観測的宇宙論に力を入れています。

LASTROは現在、最先端のコミュニケーション技法を用いて、私たちの宇宙を、最新のダイナミックな映像として見ていただくことを目指すVIRUPの開発を進めています。VIRUPは人々に、新しいバーチャルリアリティ(VR)のマルチプラットフォーム環境で、時空を超えて、太陽系をめぐり、私たちの天の川銀河の円盤から、さらに太陽系を飛び出して、恒星や局所銀河群を訪れる宇宙の旅を提供します。